【まとめのまとめ】
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いつも一人でお昼食べてる
ような文学少女が修学旅行で
豹変した話
俺の高校は進学校だったせいか、
下らないイジメなんかは無かった
その代わり内向的だったり
内気な子は構われもせず
一人で居ることが多かった
俺のクラスにも一人そんな
女子がいて、
本ばっかり読んでるからより
孤立してた
外見に気を使うような子では
なかったから制服も規定通り
着こなしててもっさりしてたし、
髪も腰まで伸ばして縛ってる
ようなタイプだったけど
顔立ちは整っていてかなりの
綺麗好きだったし、
嫌われてたりした
わけではないので二人組
作ってーと声をかけられた時は
適当に人を見つけるのが
うまかったし、
一人余るときは自分から
「私余ります」と言えるような、
気軽なぼっちだった
イベントでも常に控えめ、
目立つことを極力避けてた
ようなその女子が修学旅行で豹変した
場所は沖縄
班別でインストラクターに
ついてまわり、
海辺の生き物を観察しふれあう
ウニやヒトデ、カニや
なまこ、いろんな生き物がいた
インストラクターが触っても
いいというが、
女子をはじめ男子まで
「えぇ…」とドン引き
そんな中、体操服を極力
上まで引き上げた文学少女が
躊躇なく海に入り、
片っ端から鷲掴みつつくとか
そんな予備動作なしに、
いきなりがっつりガシッと!
「これナマコですか!?
私初めて触りました!
骨無いんですよね、
生きたタコとかイカより軟体ですね!
まるであれみたい、
海綿体!」
文学少女の手には両手に
収まりきらない大きさの
ワームっぽい茶色のナマコ
「皆さわる?プニプニだよ、
柔らかいよ、かわいいよ?」
近づいてくる文学少女に
女子は本気の絶叫を上げて逃げ惑う
男子、海綿体発言に少し
親近感を持つものの見た目の
グロテスクさに戸惑う
「あれ、なんかプパ
(ROの敵キャラ)
みたいだったのに
ビローンって伸びてきた」
ナマコは懸命に無邪気な
少女の手から逃れようと
3倍ほどの長さにまで伸びて
懸命に動いていた
…伸びるとさらにキモい
「伸びると弾力なくなってくる。
なんか伸び切ってのびしろ
無いような感触。
水に戻すとまた丸くなるのかな?」
ナマコを海水に戻し、
縮まっていく体を観察
さらに口と思しき部分で砂を
動かし何かを食べてるのを観察
それを詳しく実況して
くれたがそれ以前のことが
衝撃的すぎて頭に入ってこなかった
その後もありとあらゆる
ものを鷲掴みして俺達の前に
運んでくる
俺たちはレポートを仕上げる
ために彼女の持ってくる海の
生き物たちを撮影するのだが、
キモくてあまり近づけない
結果、俺達の班は文学少女が
変な生き物を持った写真集が
出来上がった
ウニは海の中に入ると触手を
出して引っ付く、
海から出ると触手が引っ込む
ヒトデは中央部に胃が
あるので触るとヌルヌルする
足一本千切れても千切れた
足は一応生きてるが、
多分小さすぎて再生は
できなくてそのうち市ぬ
とか何か色々文学少女が実践
交えて見せてくれたけど、
足一本千切れて落ちてる
ヒトデも平気で触ってる姿は
俺達には刺激が強すぎた
やっと生物観察が終わり、
海での自由時間がやってきた
やっと開放されたと思っていたら、
女子の集団から叫び声がした
びっくりしてそちらの海に近づくと、
両手に何か長方形の、
複数の出っ張りを持つ黒い
塊を持つ文学少女
「海の底の岩にひっついてたの!
これ硬いのにナマコなんだって!」
海中メガネをつけて文学
少女の足元を覗いてみると、
三メートルほどの深さでよく見えない
この深さをす潜りして
ナマコをとってきたらしい
両手にナマコを持ってるのに、
両足でスイスイと器用に浮いていた
女子から捨てろ捨てろと散々言われ、
仕方なさそうに海にお返ししていた
その後文学少女は足の
付かない深さの海を一人です
潜りしながら堪能
疲れないのか聞いたら体を
水面にぷっかりと浮かせ
「こうやったら休めるよ?」
と親切に教えてくれた
俺は背泳ぎはできないんだが…
皆海遊時間に皆すっかり水着
焼けしてたが、
文学少女はずっと潜っ
てたのでそれほど
焼けなかったらしく、
ビキニのあとがない!と騒がれていた
翌日からは海ではなく、
シーサー作り体験とかあったが、
その頃には文学少女はいつも
通り戻っていた
でも修学旅行から文学少女は
皆から一目置かれるようになり、
周りがよく話しかけるようになって、
いつの間にやら女子みんなと
話てる姿も見られるようになった
伸ばしっぱなしの髪も
女子たちが結ってたりして、
その年の文化祭では
「オチョウ夫人」とかいう
派手な見た目にされていた
修学旅行の時も文化祭の
ときも文学少女は全力で楽しんでて、
青春してたなーと今すんごい羨ましい
今になってナマコの
触り心地が気になって仕方ない
文学だけでなく、
事典も好きで読んでたのかな
本の知識がリアルになって嬉しいのが
伝わってきた
こういう青春の一頁な話、
好きなので
書いてくれてありがとう
いいね
こういうのって
学生時代ならではって気がする
30目前のおっさんが
キャーキャー叫んでたり
なまこに感激してたりしたら
明らかに不審者だもんな
あんだけ全力で楽しめるのは
若さの特権だと今更思い知ったよ
あーまた青春してぇ
もっと怖いもの
知らずだったらよかったのに
オチョウ夫人… お蝶夫人ね。
気高くて美しい先輩キャラよ。
さぞかし美形なんだろうなー。
文学部の可能性も捨てきれない
自分も、理科好きな文系だったんだ
ホントまた青春したいわ。
イイ話ありがとう
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