自己正当化の心理
～『ブラッド・リレイションズ 血のつながり』
久しぶりの演劇鑑賞。
演劇は、ライブ感がはんばないので、
映画以上にイマジネーションを刺激し、
感情を揺さぶります。
鑑賞したのは、
劇団スタジオライフの
『ブラッド・リレイションズ 血のつながり』です。
スタジオライフといのうは、イケメン男性だけの劇団で、
女性の役柄も男性が演じるというのが特徴。
宝塚の逆バージョンというか、
歌舞伎の演劇版とでもいいましょうか。
先日、飲み会で「スタジオライフ」の話が出た時、
この劇団の講演を見たことがある人が何人もいて、
意外と認知度が上がっているのだな、と
ビックリしました。
【あらすじ】
1892年米国ニューイングランド地方の田舎町で、
豪農夫妻が斧で惨殺される殺人事件が起きた。
警察は第一発見者である次女のリッヅィーを疑い逮捕するが、
状況証拠しか手掛かりがなく無罪となり、釈放される。
1902年、事件の真相を探るべくリッヅィーの友人である
一人の女優が、彼女と共に10年前の事件を検証してゆく。
果たして、リッヅィーの中に潜む闇の深淵に
近づくことはできるのか!?
人間、何か悪いことをしでかした時、
自分の責任を認められない。
つい、人に責任転嫁してしまいます。
本当はそうだとわかっていながら、
それを認められない。
心理学では、「否認」といいます。
リッヅィーは、殺人事件の犯人なのか。
それとも、無罪なのか。
彼女の心理を深掘りしながら、義母との確執。
遺産相続がもらえないという金銭的な焦り。
父親を愛しながらも、素直に振る舞えない苛立ち。
様々な人間の心理が複雑に絡み合いながらも、
人間関係は悪い方へ、悪い方へと向かっていきます。
最後には、
ごく普通の女性が、
「毎日顔をあわせている家族を殺せるのか？」
という、究極的な命題を突きつけてくる。
人間のダークサイド、心の闇の部分。
そして、それへのあらがい。
そして、やはり「否認」の心理が、
物語の核として、最後に浮かび上がってくるのです。
という脈絡のない感想になってしまいましたが、
「演劇」というのは、見る人ごとに違った印象を与える
多面体のように構成させれていますから、
感想を書くと、多面体のとらえどころのない感想になってしまう、
というわけです。
血なまぐさい香りのするサスペンス。
最後まで目をはなせないスリリングな展開に
引き込まれました。
やっぱり、演劇って、いいなあ。
『ブラッド・リレイションズ 血のつながり』
http://www.studio-life.com/stage/blood-relations2016/
は、新宿シアターモリエールにて、
１０月２日まで公演中。
