【聖火リレー中止を受けて】
日々変わる状況です。ここ数日、高ぶる気持ちと、不安に思うそれとが入りまじった複雑な時間でした。
『聖火リレー中止』
この知らせを受けて、とても残念に思いました。残念というか、もうそれ以上のなにか。同時に、その判断を迫られた人達のことを思うと胸が痛みました。どれほど多くの人たちが、そのリレーを楽しみにしていただろう。ここまで準備してきた様々なことができなくなる辛さ。歴史的背景。携わる人数。人々の期待値。音楽イベントを主催する立場になったことのある僕です(もちろんその規模はオリンピックとは比べ物にならないんだけどさ)。言い出したことを取りやめることの大変さ、苦悩、金銭的ダメージ。それらを想像することはできますね。4年に一度の、しかも国をあげてのこの一大イベントのスタートといってもいい聖火リレー。そんなことは全くもって想像してこなかっただけに、僕にとっても、みなさんにとっても、そして判断を下した国やIOCにとっても、忘れることのできない出来事として刻まれたと思います。この苦渋の決断と発表は、
『自分がランナーとして走れなくなる』
という悲しさをも超えていたかもしれません。さらに衝撃を受けたのは、
『オリンピックの延期』
言葉を失いました。みなさんはどうだった?!
オリンピックを観戦したことがあります。2000年のシドニー大会。日本のサッカーを応援しに現地へ飛びました。強豪ブラジルとの試合は白熱し、残念ながら結果は負けたけど、とても充実した内容のいい試合でした。それ以上に楽しかったのは(予想を遥かにこえて興奮したよ)、空き日でぷらっとよった陸上競技。400メートルや槍投げ。ハードルなど。これが本当に面白かった。知らない国の選手の活躍にだって胸が躍った。そこに時として現れる我らの同志。日の丸を背負って登場する日本人。その勇姿に涙が出て、身体中の血液が暴走した。
『血湧き肉躍る』
そんな経験をしたのはその時が初めてかもしれない。
僕らの街でオリンピックが行われる。
だからずっとずっとその日を楽しみにしてきました。今回の延期の発表はだからとても残念。残念だけど、中止じゃないとのこと。その言葉を信じて、待ちましょう。楽しみが少し先に伸びたってことだと思ったら、またそこまでがんばればいいよね。選手やチームスタッフ、運営、スポンサー、そしてたくさんのボランティアの皆様、チケットを当てた人々(僕はトランポリンを当てて観戦予定でした)、放送に携わる人。挙げていったらキリがないや。とにかくここは誰かの文句を言うのではなく(コロナは別だ!くそったれ)、グッと堪えて、スイッチを入れ替えて来年をみすえよう。
ふう。
でもやっぱり2020年の今年、聖火もって走りたかったな。
『芸能人(そういう言われ方はすきじゃないけど)だから選ばれたんでしょう? 聖火ランナーに』
そう言われます。実際に言われました。そう思います?
実は自分でちゃんと申し込みました。意気込みを沢山書いて、走りたい場所を、
『福島』
と書いて。
だって参加したかったから。オリンピックに。
僕の父は縁あって1964年の東京オリンピック組織委員会のメンバーとして開会式や閉会式の仕事をてつだっていたそうです。当時25才(僕はまだ生まれてない)。その時の記念として配られたのがこの写真のメダル。デザインは岡本太郎。母と結婚し、僕と妹が生まれ、一家の大黒柱となった父。時が経ち、僕や妹が物心ついた頃、酔っぱらうといつも父はその当時のことを繰り返し僕らに教えてくれていたっけ。
『いいかオリンピックってのはな、最高なんだぞ。とうさんはそこにいたんだぞ』
と。それがどんな感じか、ずいぶん前に他界したので今はもう聞くことはできないんだけど(もっとちゃんと聞いておけば良かった。ああ、またとうさん同じ話してるよ!と思ってた。ごめん)、だから実際にそれがどんなものなのか、体験したくてね。
ここでこっそりと告白。与えられた衣装以外、個人のアクセサリーや帽子も含め、許可のないものを持って走ってはいけない聖火リレー。実はこのメダルをポケットに入れて走ろうと思ってました。いいよね、それぐらい(笑)。
切り替えて来年を目指します。今回選ばれていた走者が白紙になったらまた申し込めばいい。
アカリトライブで毎年訪れている大好きな福島。聖火の炎。キャンドルのアカリ。人と人を繋ぐのはやっぱりあたたかいアカリであってほしい。復興の進む福島で人と人が繋がってゆくその景色を僕は自分の足で、目で、体で感じてみたいと思うから。そしてその経験をアカリトライブに参加してもらった皆様と、福島の皆さんと、共有したいと思うから。で、家族でご飯を食べるたびに、当時の父のように酔っ払って子供たちに伝えたいから。
さあ、止まらないでいこうぜ!
#聖火リレー 選んでくださった #チームNTT ありがとう。#東京オリンピック #2020 #明日は父の誕生日 #生きていれば81才 #誕生日おめでとう
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